仕事内容・作業風景

楮の加工処理

収穫した楮を人の手によって加工しながら白皮までする仕事です。

楮蒸し

集められた楮はチェーンソーで90cmほどの長さに玉切りにします。玉切りにする長さは蒸す釜の大きさにより異なります。玉切りした楮は紙煮の時にも使用する大釜で90分ほど蒸します。

楮の皮むき

蒸しあがった楮はその場ですぐに皮をむきます。手早く親指の爪で切り目を入れながら皮を剥いていきます。

皮の乾燥

剥き終わった皮は熱風乾燥機にかけられ、一気に乾燥します。ここでの乾燥が甘いとカビが発生する原因になるため、1回乾燥し終わったあと、楮皮を束にしてひっくり返してもう一度乾燥し、湿気の少ないところで保存します。
昔は、天気の良い日を選び、軒先に15本ほどで束に結んだ楮の皮を吊るして干し、少し乾いたら手返しし、結び目を入れ替えて再度干していました。

皮引き

楮の黒皮を水に一晩つけて十分にひやかしたあと、皮引き用の台におき、皮を抑えながら包丁で表皮を削りとります。
当工房では皮の一番上の表皮を黒皮。黒皮をけずり、2層目の緑色がかった皮を残したものを「なぜ皮」。さらに深く削り取り、白い部分だけになったものを「白皮」と呼び、区別しています。なぜ皮と白皮とではできた紙の風合いや耐久性が異なってきますので紙の用途に応じて引き方を使い分けるようにしています。
近年、皮引き用の機械も導入しましたが、一番最後の白皮まで削るには人の手による仕上げが必要です。
皮引きした楮皮は天日干しで乾燥させ、次の「紙煮」の作業まで保存しておきます。

雪ざらし

特に上質な紙を白く漂白したい場合、冬季限定で「雪ざらし」を行います。晴れ間をねらって日中の雪の上に白皮をさらします。すると、オゾンの効果で、より白さが増していきます。
夕方になったら回収し、また天気を見ながらさらしていきます。天気が良い日が続くと2日もあれば漂白できます。
雪ざらしの白は人工的な白とは違い、自分を主張しない柔らかな白です。