仕事内容・作業風景

原料処理

楮皮を煮熟して紙を漉くための原料を作る仕事です。

紙煮

楮皮を煮ることを当工房では「紙煮」と呼んでいます。 紙煮をする前、皮を一晩水につけておきます。その後、水をためた桶の中でしっかりと皮を洗い、チリを落とし、大釜の前に重ねていきます。 沸騰した大釜にソーダ灰を加え、その後、楮皮を少しずつ入れていきます。そのまま2~3時間ほど煮熟します。ソーダ灰を入れるのはアルカリ物質で楮の繊維をほぐすためで、昔は木灰を使用していました。当工房では今でも寒の時期に木灰で紙を煮ることがあります。皮引き後、乾燥しないで生のまま皮を煮ると低アルカリでも煮熟が可能になり、コクのある紙に仕上がります。

あく抜き

煮熟後の原料は繊維がよくほぐれているため、形が崩れないように水桶に浸け、ゆっくり攪拌しながらアクを抜いていきます。3回ほど水を入れ替えるとあく抜き終了です。歩留まりや強度を必要とする紙はほどほどに。より白くしたり、虫やカビがつきにくい高級紙にしたい場合は丹念に水洗いを繰り返します。

ちりより

あく抜きした皮は水に浮かべられ、手作業で1本1本チリやキズが取り除かれていきます。紙の用途に応じてちりよりの程度は変わります。チリひとつない紙を漉くためには、このちりよりの作業が何より大事であり、とても根気のいる仕事です。

紙叩き(ビーター)

ちりよりした楮皮は「ナギナタビーター」と呼ばれる機械で細かく繊維を攪拌していきます。もともと機械のなかった時代は、堅木の上においた皮を大きな木刀で水を少しずつ加えながら叩いて繊維をほぐし(大叩き)、そのあと小さい木刀で小刻みに叩きながら仕上げていきました(小叩き)。現在はナギナタビーターを使用します。ナギナタ状の棒を水中で回転させ、水の力で楮の繊維をほぐす機械です。この作業を「ビーターがけ」と呼びます。

かみ叩き(叩解機)

より繊維のきめ細かい上質な紙を漉く時には、大叩きにあたる作業を「打解機」と呼ばれる機械を使って行い、そのあとビーターにかけます。